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事務所ニュース2022年5月

ゴールデンウイーク如何お過ごしでいらっしゃいましょうか?
いつも事務所ニュースをお読み頂きありがとうございます。
今問題となっているウクライナ情勢ですが、複雑で非常にわかりにくいです。
今回は、「ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか?」を分かりやすく説明します。
一日も早い停戦と平和を願うばかりです。
また、コーヒブレイクでは94歳で死亡した人の相続税を巡り、東京都内などのマンション2棟を合計13億8700万円で購入し、路線価をもとに土地建物をおよそ3億3000万円と評価して、借入金などを差し引いて相続税を「0円」と申告したことに、税務署が遺族に独自の財産評価をして追徴課税したことの是非が問われた裁判で、最高裁判所は遺族の上告を退ける判決を言い渡しました。
この判決について金森先生が見解を説明します。
皆様、これから五月晴れの季節になりますが、ぜひ健康的な生活に心がけ、コロナに負けずに過ごしていきましょう。

知って得しま専科!  ロシアはなぜウクライナに侵攻したのか?

★ロシアがウクライナ侵攻をした2つのキーワード
ロシアはなぜウクライナの軍事侵攻に踏み切ったのか?
その背景を、ロシアの外交・安全保障の専門家などの話を整理すると、2つのキーワードが浮かびあがってきました。
1:「同じルーツを持つ国」
2:「NATOの”東方拡大”」

★“同じルーツを持つ国”とはどういうことなの?
それを知るカギは、30年前のソビエト崩壊という歴史的な出来事にさかのぼる必要があります。もともと30年前まで、ロシアもウクライナもソビエトという国を構成する15の共和国の1つでした。
ソビエト崩壊後、15の構成国は、それぞれ独立して新たな国家としての歩みを始めました。
これらの国では新しい国旗や国歌が制定されました。
ソビエト崩壊から30年たっても、ロシアは同じ国だったという意識があり、とりわけウクライナへの意識は、特別なものがあると言われています。

★ロシアはウクライナをどうみているの?
ロシアとウクライナの関係を考えるうえで、歴史をさかのぼると8世紀末から13世紀にかけて、今のウクライナやロシアなどにまたがる地域に「キエフ公国=キエフ・ルーシ」と呼ばれる国家がありました。
その中心的な都市だったのが、今のウクライナの首都キエフでした。
こうした歴史から、同じソビエトを構成した国のなかでも、ロシアはウクライナに対して特に“同じルーツを持つ国”という意識を強く持っていていると指摘しています。

★プーチン大統領は?
プーチン大統領はウクライナを“兄弟国家”と呼び、「強い執着」があると指摘しています。
実際、プーチン大統領は去年7月に発表した論文の中でロシアとウクライナ人は同じ民族ということを述べています。
プーチン大統領はいまだに旧ソビエト時代の意識から脱却できていないようだと思われます。

★ウクライナはロシアをどうみているの?
一方、ウクライナはそうした“兄弟意識”はなくなったといわれています。
ソビエトが崩壊してこの30年間で、当初はあいまいだったウクライナ国民という意識がつくりあげられたということです。
ただ、ウクライナ側にも少し複雑な事情を抱えています。
ロシアと隣接するウクライナ東部はロシア語を話す住民が多く暮らしていて、ロシアとは歴史的なつながりが深い地域です。
一方で、ウクライナ西部は、かつてオーストリア・ハンガリー帝国に帰属し、宗教もカトリックの影響が残っていて、ロシアからの独立志向が強い地域です。
つまり同じ国でも東西はまるで分断されている状況となっています。

★ロシアはウクライナにどんな行動をとってきた?
“同じルーツを持つ国”と位置づけるウクライナに対して、プーチン政権はこれまでも、東部のロシア系住民を通じて、その影響力を及ぼそうとしてきました。
それはウクライナの大統領選挙にも及び、2004年のウクライナ大統領選挙では、プーチン大統領が2度も現地に乗り込み、東部を支持基盤にロシア寄りの政策を掲げた候補をあからさまに応援しました。
そして、2014年に欧米寄りの政権が誕生すると、プーチン大統領はロシア系の住民が多く、戦略的な要衝でもあったウクライナ南部のクリミアにひそかに軍の特殊部隊などを派遣。軍事力も利用して一方的に併合してしまいました。

★NATOの“東方拡大”とはどういうこと?
もう1つのカギになるのが「NATO」=北大西洋条約機構の“東方拡大”です。
「NATO」は、もともと東西冷戦時代にソビエトに対抗するために、アメリカなどがつくった軍事同盟です。
ソビエトが崩壊すると、NATOはもともと共産主義圏だった国々に民主主義を拡大する、いわば政治的な役割も担うようになりました。
当時、東欧諸国などの多くが、経済的に豊かだった民主主義陣営に入ることを望んでいて、その入り口となったNATOへの加盟を望む国が相次いだといいます。
実際、1999年にポーランドやチェコ、それにハンガリーが正式に加盟。
また、2004年にバルト3国などが加盟しました。
こうした動きを“東方拡大”と呼びます。
また、ウクライナやモルドバ、ジョージアでも欧米寄りの政権が誕生し、NATOに接近する姿勢を示しています。

★NATOの“東方拡大”をロシアはどうみている?
ロシアはこれまで、西側から陸上を通って攻め込まれてきた歴史があるため、安全保障の観点から、東欧諸国を“緩衝地帯”だと考える意識が強いようです。
そのため、NATOの“東方拡大”に強い抵抗感があり、東欧諸国がNATOに加盟することも、東欧諸国に軍事施設を設けることを嫌がるのだといいます。
一方で、ソビエト崩壊後しばらくは、ロシアは感情的に好ましいとは思ってはいなかったものの、否定や反対は明確に表明していなかったそうです。
転機となったのが、2006年に旧ソビエト時代の債務を完済し、翌年・2007年にドイツのミュンヘンでの演説でプーチン大統領がNATOの東方拡大について初めて公の場で批判したことだといいます。
その後、ジョージアやウクライナのNATO加盟の動きについても、強くけん制しています。
プーチン大統領は、最近でもNATOの東方拡大について「約束違反だ」と厳しく批判しています。

★プーチン大統領が「約束違反だ」と主張する根拠は?
プーチン大統領が指摘する「約束」について、1990年代に、当時のアメリカの国務長官とソビエトのゴルバチョフ書記長との間で交わされたとされる“口約束”を指しているといいます。
プーチン大統領の主張では、1990年に東西ドイツが統一する際、東ドイツに駐留していたおよそ10万人のソビエト軍を撤退させるために、アメリカのベーカー国務長官がゴルバチョフ書記長にNATOを東に拡大しないという趣旨の約束をしたといいます。
ただ、口頭での約束で文書は残っておらず、本当にそのようなやりとりがあったのかどうか諸説あるということです。
今回の軍事侵攻の背景には、プーチン大統領が、NATOへの加盟を希望するウクライナの政権を“同じルーツを持つ国”に誕生したアメリカ寄りの“かいらい政権”と捉えていることや、NATOのこれ以上の“東方拡大”を容認できないとする安全保障観が影響しているものと思われます。

★混迷するウクライナ侵攻、今後はどうなる?
ウクライナに対するロシアの激しい攻撃が続いている。
プーチン大統領は5月9日の対ドイツ戦勝記念日に、ウクライナ東部制圧で勝利宣言をしたいと考えているともいわれるが、台所事情はかなり厳しい。
戦争を続けるには「カネ」が必要である。
名目GDP(IMF推計)が1兆4785億ドル(約185兆円)のロシアにとって、1日当たり2000億円~2兆円と推定される戦費は重圧となる。
加えて欧米による経済制裁によりロシア経済はすでに年率10%を超えるマイナス成長に陥っていることは確実だ。
世界有数の資源大国とはいえ、戦争を長期間継続することは難しい。
経済制裁を受けて使える外貨準備が激減し、資本の海外流出もみられる。
通貨ルーブルの価値はロシア中央銀行が20%近く政策金利を引き上げるなどしたことで一時的なリバウンドはあるにせよ、成長の鈍化とともに趨勢的に低下していくことは避けられないだろう。
現状15%程度にとどまっているインフレ率も、いずれ通貨安に伴って上昇し、国民生活を圧迫することになるだろう。

コーヒブレイク・・・マンションの相続税めぐる最高裁判決 遺族側の敗訴確定

★最高裁判決の概要
マンションの相続税を巡り、税務署が独自の財産評価をして追徴課税したことの是非が問われた裁判で、最高裁判所は遺族の上告を退ける判決を言い渡しました。
札幌市の男性は、東京都内などのマンション2棟を合計13億8700万円で購入し、2012年に94歳で死亡しました。
相続した遺族は、路線価をもとに土地建物をおよそ3億3000万円と評価して、借入金などを差し引いて相続税を「0円」と申告していました。
これに対し税務署は「路線価と購入額がかけ離れていて著しく不適当」だとして、例外規定に基づき独自に不動産を鑑定しておよそ3億3000万円を追徴課税しました。
遺族側は取り消しを求める裁判を起こしましたが、1審と2審で敗訴し、上告していました。
最高裁は4月19日の判決で「他の納税者との間に看過し難い不均衡が生じ、実質的な租税負担の公平に反する」と指摘し、例外規定に基づく追徴課税を適法と認めて上告を退け、遺族側の敗訴が確定しました。

★判決の見解
・今回の最高裁判決の事案について、税務署評価による相続税課税は、当然の結果と思われます。
・本件は私が国税庁課税部の幹部当時の課税事案で判決を注目しておりました。
以下、私なりにポイントを記載します。

★最高裁判決のポイント【国側勝訴】
相続税の財産価額について、通常の評価通達の定める方法によった場合に、実質的な租税負担の公平に反する場合には、国税庁長官が定めた価額することが平等原則に違反するものではない。
・この国税庁長官が定める評価額は10年間でも10件に満たない程度で、適用することは非常に稀です。

★今後の影響については、
・国税側は、最高裁で勝訴したことから、伝家の宝刀である「総則6項」をより使いやすくなるのではと予想できますが、限られた場合になると思われます。
・専門家からは、「総則6項」について「具体的な適用基準が依然として曖昧だとする意見がありますが、基準を示せるほど簡単ではありません。

★本件の特徴
■相続対策のスケジュールがタイトすぎる
被相続人の年齢は90歳前後で対策をするには少し遅すぎた

■明らかにやり過ぎの目立つ事案
本件節税対策により相続税はゼロ、やり過ぎで過度の節税スキーム

■相続税の節税以外の経済合理性がない
信託銀行の稟議書には「相続税対策を目的」と記録

★今後の影響について
銀行や不動産会社が富裕層に対して提案する節税スキームの内容は変わると思います。
次に税理士の相続税申告業務、すなわち、不動産の相続税評価についてです。
今まで以上に相続開始直前に不動産を購入している事案についてはお客様に税務リスクを強く伝えなければならなくなりました。
また、過度な節税スキームを実施している案件は、路線価評価ではなく鑑定評価や購入金額での申告も必要となる可能性もあります。
そのような評価をすべき案件の見極めに税理士の手腕が問われるのではないでしょうか
私は個人的に下記のような不動産であれば路線価評価以外の評価方法も検討しないといけないかなと考えています。

■購入時期が相続開始前3年間程度
■購入原資が借入金
■借入金の完済予定日が購入者の平均余命を超えている
■購入者が近い将来に相続が予想される高齢者
■路線価評価額が購入金額の50%以下となるような相続税を圧縮できる不動産
■相続開始からある程度近い時期に購入し、相続開始後に売却した不動産
■不動産購入に相続税節税以外に経済的な合理性がない

上記の3年や50%以下っていうのは適当な例示の数字で何の根拠や裏付けはございませんのであしからず。

事務所からのお知らせ

★4月下旬に北海道に行ってきました。とっても寒く、山には雪が残っていました。

北海道の美幌峠

摩周湖

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