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事務所ニュース2018年6月号

「国税審判官の1日(ある日の様子)」のご紹介

梅雨の季節になりますが、如何お過ごしですか?
つい最近、国税不服審判所のホームページを見ていて、特定任期付職員の「国税審判官の1日(ある日の様子)」を読みました。
それが私には結構面白かったので皆様にご紹介いたします。

まず、特定任期付国税審判官とは、国税当局の処分に対して、納税者が国税不服審判所に審査請求(提出し異議を申し立てる)、それに係る事件の調査・審理等を行う国税審判官のうち、任期付きの者です。

募集条件は、任期付きで、
①弁護士、税理士、公認会計士、大学の教授又は准教授の職にあった経歴を有する者で、国税に関する学識経験を有すること、
②十分な民間実務経験や大学における教育・研究実績を有していること、
③職務内容を遂行するために必要とされる高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有すると認められること、
などが条件です。

では、コラムをご紹介します。

国税審判官の1日(ある日の様子)ペンネーム:リブロース
✓迫力あるネーミングにもかかわらず、必ずしも知名度が高いとはいえない国税不服審判所。
私はそのとある支部で「審判官」(正確には「国税審判官」)として働いている。
今回、審判官である私の1日の様子を赤裸々に紹介させて頂くことで、少しでも国税不服審判所に興味を持って頂ける方が増えれば幸いである。

✓審判官の朝は早い。
ワークライフバランスを実践する私は、フレックスタイム制度を最大限活用し、午前7時半から仕事を開始して、午後4時15分には仕事を終える(終えたいと願う)。
朝から颯爽と机に向かうその姿に、深夜まで仕事(及びその後暴飲暴食)をした翌朝、ほのかに香る酒臭さをマスクで隠し裁判官と向かい合っていた昔の自分(弁護士)はもういない。
私は負の歴史のロンダリングに成功した。

✓多くの職員が登庁する午前9時までの間に、担当事件の記録を読み返す。
昨日、所長等幹部の面々に事件の進捗と処理方針を説明し、目から鱗のご指摘(宿題)を頂いた事件だ。

✓幹部の構成は、支部によって様々であるが、タフな経歴を有する「検事」出身者・「裁判官」出身者、「国税庁キャリア」、「特定税目の専門家」などであり、その豪華な顔ぶれはエクスペンダブルズ(2010年に劇場公開されたシルヴェスタ・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガー、ブルース・ウィリス等主役級の俳優を揃えた贅沢の極み系アクション映画)を彷彿とさせる。

昨日の宿題を終えるにはまだ時間がかかりそうだ。

✓気分を変えて、他の審判官が担当する事件(当該事件との関係では、私は合議体を構成する3名の審判官の1人であり、主担当の審判官を「担当審判官」と呼ぶのに対し「参加審判官」と呼ばれる)の記録を読み込み始める。
が、直ぐに躓く。

✓難解な税務用語と複雑な構造の条文がこれでもかと羅列されている。
分厚い六法全書や租税法(金子宏著)を開いてもよいが、隣の担当審判官はその道(特定税目)のエキスパート。
出勤早々担当審判官に質問をする。
そうこうしているうちに、担当審判官の机の回りにもう1名の参加審判官と分担者の審査官(審判官の命を受けて事務に従事する者)もやって来て、皆で担当審判官の説明を聞き意見を交換し討論が始まる。
合議は時と場所を選ばない。

✓午前の勤務終了を告げるチャイムが鳴る。
45分の昼休み。
昼食を取るため外出したお偉方が、午後の始業時間に間に合うよう庁舎目掛けて本気で走る姿を初めて見たときの衝撃は今でも忘れられない。

✓午後のメインイベントは、自分が担当する事件の最終合議。
その前に審理関係人に電話連絡をし、今後のスケジュールの相談等をする。
短時間で終わると見込んだ電話が予想外に長引く。
弁護士に戻ったら書面は提出期限までに提出しようと固く心に誓う。
最終合議が始まる。

✓今回の合議出席者は合議体を構成する3名の審判官のほかにも、その税目の精通者(審判官・審査官)、公認会計士、裁判官出身の審判官など総勢12名。
エクスペンダブルズreprise。

✓新任の頃から私の主担する合議は炎上すると言われて来た。
本日の合議も、お約束のように、2時間以上に亘って激論が繰り広げられ、最後ようやく議決に漕ぎ着く。
適度(あるいは過度)の疲労感と充実感に満たされる。

✓午後6時、珍しく一杯やりたくなる気持ちを抑え、翌日の職権調査の段取りを考えながら庁舎を出て帰路に着く。
明日の朝も早い。エクスペンダブルズを 見ないで寝よう。

以上

★出典:国税不服審判所ホームページ5/25(金) 国税審判官(特定任期付職員)のコラム第3回http://www.kfs.go.jp/shinpankan_info/column/pdf/column03.pdf

この執筆者は、弁護士出身で期限付き任用として採用された方です。
弁護士先生にとっては、とりわけ税法は難解で仕事としては避けたい分野のようです。
しかし、この弁護士先生のように多くの方が避けたがる分野だからこそ、将来弁護士として活躍できる分野でもあります。

その他、国税局にも法務省検事、裁判官、弁護士、公認会計士、税理士、金融専門家などが期限付で任用しております。
私も東京国税局幹部時代にこれらの方と談話をしたことがありますが、皆さん揃って「国税職員のスキルは高い」と評価していました。

しかし、時々、無理な課税をする場合もあります。
納税者として納得ができない課税の場合は、国税不服審判所へ審査請求して、課税の公平のため審判を仰ぐことも必要ではないでしょうか。

それでは、体調を崩しやすい時期でもありますので、十分ご自愛くださいませ。

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