お知らせ

事務所ニュース2024年9月

まだまだ暑い日は続いておりますが、夜は秋の虫が鳴き始めました。
虫の声を聞くと秋が近づく気配はありますが、気温はまだまだ秋に近づいてきてません。
いつも事務所ニュースをお読みいただきありがとうございます。
今月号の「知って得しま専科」は、「会社負担の検診費用は従業員の立替清算も可能」ということを解説いたします。
人間ドック等の検診費用の精算ルールが定まっていない企業の方はぜひ一読してみてください。
また、「5分で学べる税務知識」では、「ふるさと納税と定額減税」を解説いたします。
「コーヒーブレイク」では町のスーパーマーケットで品薄状態となっているお米にスポットを当てて「令和の米騒動 いつまで?原因は?」について解説をします。
今後もお役に立てそうなコラムをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
頑張ろうぜぃ〜(税) ♪

知って得しま専科! 会社負担の検診費用は従業員の立替清算も可能

医療機関への直接払いは源泉不要の必須条件ではない
一般的に福利厚生の一環として、従業員の人間ドック等の健康診断の費用を負担している会社も多いと思います。
福利厚生費として処理するには、会社が医療機関に直接その検診費用を支払うことが必要と認識する向きもあり、従業員が検診費用を立て替えて後日会社で精算する方法では、税務調査等で給与課税の疑義が生じるということも聞かれます。
しかし、従業員の立替精算であっても、希望する従業員全員が受診でき、検診を受けた全員を対象に会社が検診費用を負担し、その金額が著しく多額でなければ、基本的には、給与課税による源泉徴収は不要です。

検診費用の会社の負担方法は定められていない
会社が従業員に金銭で支給する給料、賞与などのほか、経済的利益も通常、給与等として源泉徴収の対象となります。
しかし、従業員の福利厚生のために会社が負担する費用について、従業員が受ける経済的利益の金額が著しく多額である場合や役員だけを対象に供与される場合を除き、給与課税は不要とされています(【参考1】)。
【参考1】の取扱いに基づき、会社が負担する従業員の人間ドックの検診費用について、希望者全員が検診を受けることができ、検診を受けた者の全員を対象にその検診費用を会社が負担する場合は、給与課税は不要であることが国税庁の質疑応答事例で示されています(【参考2】)。
検診費用を会社が直接医療機関に支払うか、それとも従業員が立て替えて後日会社で清算するのか、【参考1】や【参考2】において会社のその費用負担の方法は言及されていません。
あくまで希望者が全員検診を受けることが可能で、検診を受けた全員の検診費用を会社が負担し、その負担額が著しく多額でなければ、いずれの方法であっても給与課税は不要ということになります(【参考3】)。

【参考1】所得税基本通達36-29「課税しない経済的利益……用役の提供等」

使用者が役員若しくは使用人に対し自己の営む事業に属する用役を無償若しくは通常の対価の額に満たない対価で提供し、又は役員若しくは使用人の福利厚生のための施設の運営費等を負担することにより、当該用役の提供を受け又は当該施設を利用した役員又は使用人が受ける経済的利益については、 当該経済的利益の額が著しく多額であると認められる場合又は役員だけを対象として供与される場合を除き、課税しなくて差し支えない。

 

【参考2】国税庁質疑応答事例「人間ドックの費用負担」

【照会要旨】
A社では、社内規程を設け、役員及び使用人の健康管理の目的で、全員について春秋2回定期的に健康診断を実施しているほか、成人病の予防のため、年齢35歳以上の希望者の全てについて2日間の人間ドックによる検診を実施しています。この検診は、会社と契約した特定の専門医療機関においてベッド数が確保できる範囲内で順次実施し、その検診料を会社で負担することとしていますが、この人間ドックによる検診を受けた人に対して、会社が負担した検診料相当額を給与等として課税すべきですか。【回答要旨】
給与等として課税する必要はありません。
役員や特定の地位にある人だけを対象としてその費用を負担するような場合には課税の問題が生じますが、役員又は使用人の健康管理の必要から、雇用主に対し、一般的に実施されている人間ドック程度の健康診断の実施が義務付けられていることなどから、 一定年齢以上の希望者は全て検診を受けることができ、かつ、検診を受けた者の全てを対象としてその費用を負担する場合には、給与等として課税する必要はありません。

 

【参考3】給与課税の対象にならない人間ドック等の健診費用

1:希望者全員が検診を受けることができること
2:検診を受けた全ての者の費用を会社が負担すること
3:会社の負担費用が著しく多額でないこと

※会社が医療機関に直接支払う方法、従業員が立て替えて後日会社で清算する方法のいずれでも可

会社の規程等に基づき負担、給与等でないことを明確に
人間ドック等の検診費用を従業員が立て替え、後日会社で精算する方法であることのみをもって、給与課税の対象にはなりません。
だが、従業員に金銭を支給する以上は、税務調査等で給与等とみられることがないよう、会社の規程等に基づき、検診を受けた全員を対象に会社が負担するなどの検診費用であることを明確にしておいたほうが良いです。
例えば、検診費用の名目でも渡切りで一定額を従業員に支給したり、会社の規程等でルールが定められておらず、対象者などがバラバラであったりする場合などでは、税務調査等で従業員に対する給与等と指摘されることも考えられます。 

従業員から会社名義の領収書の提出を受けて保存
従業員による立替精算の方法では、会社が負担する検診費用であることを明確にするため、清算に当たり、従業員から会社名義の領収書の提出を受けた方が無難といえます。
領収書の宛名が従業員の氏名であっても、その実態が、検診を受けた全員を対象に会社が負担するなどの検診費用であれば、基本的には給与等に当たりませんが、税務調査等でその内容が確認されることも考えられます。

健診費用の清算が会社または従業員清算なのかルールが定まっていない企業の場合、税務調査でも問題が生じなくするため、会社の規定等に明確に記載し、従業員から領収書の提出を受けて保存することをお勧めいたします。

5分で学べる税務知識 ・・・ ふるさと納税と定額減税

今回の5分で学べる税務知識ではふるさと納税と定額減税に関連するお話をいたします。
今年も返礼品や住民税の控除等の魅力からふるさと納税を利用する方は多いでしょう。
一定の配偶者を有する場合、定額減税の実施に伴い、令和6年中に寄附する額が令和7年度分のふるさと納税の控除上限額に影響するケースがあります。
ふるさと納税は、寄附した年の翌年度の個人住民税から一定額の控除を受けることができ、特例控除額の控除上限額については、“所得割額”の2割となります
住民税における定額減税は、原則として“令和6年度分の所得割額”から減税額(本人:1万円、控除対象配偶者又は扶養親族:1人につき1万円の合計額)が控除されるところ、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者(本人の合計所得金額が1,000万円超で、配偶者の合計所得金額が48万円以下の者)に係る減税額1万円は、“令和7年度分の所得割額”から控除されます。
令和6年度分の所得割額については、「定額減税前の所得割額」をベースにふるさと納税の控除上限額を算出するという特例が設けられているため、定額減税が令和5年中に行った寄附額に影響しませんでした。
ただし、同特例は、令和6年度分の住民税に限った措置であり、令和7年度分には設けられていないため、令和7年度分の控除上限額は、「定額減税後の所得割額」をベースに算出することになります。
そのため、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する者が、令和6年中に寄附を行い、令和7年度分の住民税でふるさと納税の控除を受ける場合、控除上限額のベースとなる所得割額は、同配偶者の減税額1万円が控除された後の額となる。令和6年中に控除上限額ギリギリまで寄附を行う場合は、令和7年度分で控除される定額減税額があるのかを確認し、定額減税後の所得割額をベースにした控除上限額を事前に算定するとよいでしょう。

コーヒーブレイク ・・・令和の米騒動 いつまで?原因は?

今回のコーヒーブレイクは令和の米騒動とも言われている、現在進行形でお米の購入がしづらくなっていることについて解説していきます。
現在、町のスーパーマーケットなどでもお米の品薄が続き、買えるお米が制限されており、売り場でも品切れの光景をよく見かけるようになりました。
まもなくお米が底をついてしまう…という令和の米騒動と呼ばれる現象が起きています。
現在、スーパーの売り場でもお米売り場は縮小され、他の商品を置いているスーパーマーケットも珍しくありません。
しかしなぜ、売り場にお米がないのでしょうか。
原因となる要因は2点あるようです。

  • 異常気象がもたらす影響
  • コロナ禍後の需要急増

異常気象がもたらす影響
2024年の米不足の主な原因の一つは、昨年の異常な猛暑です。
昨年度の異常気象により、猛暑によって米の品質が低下し、小粒で欠けやすい米が多くなって稲作に深刻な影響が出てしまったそうです。
通常、100キロの白米を得るためには110キロの玄米が必要でしたが、現在は115〜120キロが必要となっており、その結果として米の供給が不足する事態に陥っているようです。
このように、異常気象は直接的に米の供給に影響を与え、米不足の一因となっています。 

コロナ禍後の需要急増
さらに、コロナ禍が明けた後、飲食店や観光業が再び活気を取り戻したことも、米不足の一因となっています。
特に、インバウンド需要の増加により、お米の需要が急増しました。
円安の影響もあり訪日外国人が増え、需要の増加に対して供給が追いつかず、米の価格も上昇していき、供給側の調整が間に合わず、在庫が急激に減少しました。
よって、2024年の令和の米騒動は、需要の急増と供給不足のダブルパンチによって引き起こされています。

お米の品薄はいつまで続く?
現在スーパーなどで並んでいるお米は令和5年産のものが多く、在庫も少なくなってきていますが10月以降、早ければ9月以降から令和6年産の新米が市場に出回ってくるため、現在よりは品薄が解消していくようです。
また、ある程度スーパーなどでお米が出回るようになれば急激な買い占めなどによる需要過多の状況も緩和されるため、徐々に品薄状態も落ち着いてくることが予想されるでしょう。
政府も備蓄米を100万トン以上確保していますし、9月になれば新米を入手できることから買いだめなどはせず、焦らないほうが良いだろう。
また、町のスーパーマーケットでなかなか手に入らなくなっているお米ですが、「ふるさと納税」をすることで入手できるかもしれません。
ふるさと納税は、返礼品の事業者(お米農家)から問屋を介さず直接送られてくるため比較的在庫があるようです。
お米も入手しつつ節税もしてみてはいかがですか?

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