お知らせ

事務所ニュース2018年12月号

いつも事務所ニュースをお読み頂き、ありがとうございます。
2018年も、あっという間に過ぎ去ってゆきそうですね。
今年中に成し遂げるべきことが多くお忙しいことでございましょう。
さて、政府は健康寿命(健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間)を延ばすために、定期健康診断やスポーツを行うことを奨励しています。
ところで、日本ではプレーをすると税金を徴収されるスポーツが、たった一つだけあるのをご存知ですか?
答えは「ゴルフ」です。皆さんの中にはゴルフを楽しんでいらっしゃる方も多いと思いますが、ゴルフ場でプレーをしたときに「ゴルフ場利用税」を徴収されているんです。
今回は、「ゴルフ場利用税」が存続している背景や今後の方向性などを解説していきます。

実現するか「ゴルフ場利用税」の廃止

―文科省が廃止要望を7年連続で提出―

ゴルフ場利用税について、文部科学省は平成25年から昨年まで連続して廃止を要望している。
ゴルフは平成28年に112年ぶりにリオデジャネイロ五輪で復活し、東京五輪でも実施が決まっていることから、同省は幅広くゴルフの振興を図り、国民が身近に親しむ環境を整備する上で重要だとして、平成31年度税制改正に向けてもすでに7年連続となる廃止要望を提出。
ゴルフ競技団体や関係業界等を含め、同税廃止に向けた動きを強めている。
ゴルフ場利用税の前身は、昭和15年に国税として導入された入場税だが、その後、昭和29年にパチンコ店やマージャン店などとともに「娯楽施設利用税」という地方税となった。
さらに平成元年の消費税創設に際して、国税の入場税は廃止され、娯楽施設利用税も、パチンコ・麻雀・射的場などの利用に係るものは廃止されたが、ゴルフ場の利用行為に対してだけは「ゴルフ場利用税」と名称変更して存続した。
国体競技選手、年齢18歳未満の者や70歳以上の高齢者、障害者などは非課税だが、その他の利用者には一人1日当たりの施設利用に対して800円(標準税率)から1200円(制限税率)で課税されている。
こうしたことから、関係者は、スポーツの中でゴルフだけが消費税と施設利用税との二重課税で公平性を欠いているなどとして廃止を主張。
加えて、ゴルフがオリンピックの正式な競技種目になったことも追い風と捉えている。

―底辺拡大を狙う業界側と財源を死守したい自治体の攻防―

税制改正要望の背景には、ゴルフ人口の減少がある。
平成5年に約1480万人だったゴルフ場利用者は平成28年には約550万人と約4割まで減少。
この間、利用単価も大きく減少しており、業界には少しでも負担を減らしてゴルフ場に客を呼び戻したい事情がある。
一方、課税側の都道府県と交付金を受ける市町村は廃止絶対反対で一致
ゴルフ場の開発許可や周辺の道路整備にかかる行政サービスを賄う費用として欠かせないという立場だ。
総務省も地方の貴重な財源だとして自治体を後押ししている。
ゴルフ場利用税の税収は年間約459億円(平成28年度決算額)、うち7割がゴルフ場のある市町村に交付され、財政状況がひっ迫している地方財政にとっては貴重な財源となっている。
東京オリンピックのゴルフ競技実施を契機に人気回復、底辺拡大を狙う業界側の廃止要望と、財源を死守したい自治体の攻防は今年も続きそうだ。

―先生から一言―

「ゴルフ場利用税」の金額はゴルフ場の所在地やホール数、利用代金などによって違いますが、概ね数百円程度(上限1,200円)です。
それほど高額というわけではありませんが、スポーツの中でゴルフだけが課税されるというのは、ゴルフはお金持ちの贅沢なスポーツと見られているということでしょうか。
ただ、スポーツ庁の資料によれば、ゴルフプレー料金は平成13年度(9,601円)から平成28年度(5,350円)にかけて約44%減少しており、平成3年度と平成28年度の年収別ゴルフプレー人口については、年収400 万円未満の方が2倍に増加し、年収700万円以上の方は約4 割減少しているそうです。
近年では、幅広い国民層にプレーされており、庶民のスポーツになっていると言えそうです。
もし、テニスコートやトレーニングジムを利用する際に利用税がかかる、ということになったら、国民から大ブーイングが起こるのではないでしょうか。
平成最後の年末です。
何かと気ぜわしい時期ですが、体調に気を付けて1年の締めくくりをされてくださいませ。

【コーヒーブレイク】 定年退職者への記念品と課否判定

国家公務員の定年引上げが検討されるなど、定年制を見直す動きが加速している。
とはいえ,60歳を定年退職とし、会社から記念品が贈られるところは少なくない。
こうした記念品は退職を控えた在職者に対するものといえるため、退職規程を整えておけば、退職数か月前の在職時の贈呈でも、「給与所得」ではなく、税制上優遇されている「退職所得」として取り扱われる。

その贈答品を退職所得に係る収入金額に含めるかどうかは、給与所得の永年勤続者表彰の経済的利益の課否判断について定めた「給与等に係る経済的利益」を参照し、①②の要件を満たすかどうかが基準となるようだ( 所基通36-21)。【課税しない経済的利益……永年勤続者の記念品等】

  • 利益額が勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること
  • おおむね10年以上の勤続年数者で、2回以上の表彰者は、おおむね5年以上の間隔をおいて行われること

例えば、海外旅行を記念品とする場合、その旅行が永年勤続者表彰制度と同様の内容に基づくもので、社会通念上相当と認められれば、非課税。
同制度の内容を上回るものは課税となる。「社会通念上」の解釈がポイントとなるが、現状は個別判断になってしまう。
ただ、昭和60年の個別通達『永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱いについて』で、参考となるものがある。
満25年勤続…10万円相当」、「②満35年勤続…20万円相当」という社内規程の課否を照会したもので、国税庁が 所得税基本通達36-21 を適用し、課税を要しないと回答している。
退職規程を整備する際は、同通達が一つの目安となりそうだ。
なお,入社時期によって、永年勤続表彰と定年退職表彰の間隔が5年以上空かないケースがあり、その場合は課税対象となる可能性があるので注意が必要だ。

 

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