お知らせ

事務所ニュース2018年10月号

いつも事務所ニュースをお読み頂き、ありがとうございます。
酷暑の夏が過ぎ去り、やっと紅葉の便りが聞こえてくる季節に入りました。
如何お過ごしですか?今年は「大阪府北部地震」「記録的な集中豪雨」「頻発する台風」と災害が相次いでいます。
各地でボランティア活動が盛んに行われていますが、現地に赴くことができなくても、何らかの形で復興支援をしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
経済的に支援したいという方は「ふるさと納税」を利用することもできるようです。
今回は、義援金等で復興支援を行う場合の税法上の優遇措置について解説していきます。

「ふるさと納税」制度を活用した復興支援

被災地支援のための義援金については、7月に国税庁より「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」が公表されていますが、そのうち、個人が義援金を支払った場合の取り扱いについて、支払先別にご紹介します。

―被災地の自治体に対し、直接義援金を支払った場合―

個人が、被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して支払った義援金は、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除(所得控除)の対象になります。
なお、この義援金は、地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当するため、個人住民税の寄附金税額控除の対象にもなります。
この住民税の控除を受ける場合、申告の手続きの手間を省くことができる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の適用が可能です。

―日本赤十字社又は社会福祉法人中央共同募金会を通じて義援金を支払った場合―

個人が、日本赤十字社や社会福祉法人中央共同募金会が被災者への支援を目的として設けた専用口座に対して支払った義援金は、その義援金が最終的に地方公共団体に対して拠出されるものであるときは、「特定寄附金」に該当し、寄附金控除(所得控除)の対象となります。
なお、この義援金は、地方公共団体に対する寄附金として、ふるさと納税に該当するため、個人住民税の寄附金税額控除の対象にもなります。
ただし、募金団体を通じた義援金については、ワンストップ特例制度の適用はできません。
確定申告が必要となりますのでご注意ください。

―被災地域の支援活動を行っているNPO法人に対して義援金を支払った場合―

そのNPO法人が「認定NPO法人等」である場合、個人が「認定NPO法人等に対する寄附金」として支払った義援金は、寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)の対象となります(選択適用)
この場合、支払った義援金がその認定NPO法人等の行う特定非営利活動に係る事業に関連するものである必要がありますので、支払いの際はご確認ください。
また、上記NPO法人等に対する義援金等は、ふるさと納税の対象となりませんので注意が必要です

「特定寄附金」に該当するもの、寄附金控除等の金額の計算方法については、下記国税庁のサイトをご参照ください。

国税庁「『暮らしの税情報』寄附金を支出したとき」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm
国税庁「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」https://www.nta.go.jp/about/organization/kumamoto/topics/saigai/160422/06.htm

今は「ふるさと納税」というと「お礼の品」の話題になりがちですが、そもそも「ふるさと納税」は、特定の地域を応援するために作られた寄附金制度です。
災害が続くこのようなときこそ、本来の趣旨に沿った「ふるさと納税」を行い、被災地支援のために活用したいものです。
ところで、自身が被災者になってしまった場合は、どのような支援を受けられるのでしょう。
税制上は、申告などの期限の延長や納税の猶予、そして予定納税の減額・源泉徴収の徴収猶予などを受けることができます。
また、確定申告等で「災害減免法」に定める税金の軽減免除による方法と、「所得税法」に定める雑損控除の方法と、どちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することもできます。
このように、支援したり、支援されたりする制度を整えていくことは大切なことだと思いますが、最も重要なのは人命です。
今年も自然災害により多くの貴重な命が失われています。
天候の急変には十分気をつけ、危険を感じたらすぐに非難できる体制は整えておきたいものです。

【コーヒーブレイク】  トランプ税制の大きな影響…

本年1月から施行されたトランプ税制が意外なところに大きな影響を及ぼしている
といわれています。
彼地においては、従前、資産の交換取引は非課税とされていたところ、トランプ税制においては、非課税となる資産の交換取引を不動産の交換に限定することになったため、プロスポーツ選手の移籍・トレード(保有権の交換取引)も課税対象に含められることになり、MLB(Major League Baseball)が対応に苦慮するほどの問題に発展しているとのことです。
よその国の税制改正ではありますが、考えてみますと、わが国においても選手のトレードを巡る会計上及び税務上の処理は不明確です。
特殊な業界におけるそう多くはない取引であるので、議論、検討の対象とされてこなかったものと思われますが、たとえば、金銭トレードの場合には選手を譲渡した側が受け取る金員はチームの課税対象に含まれますので、課税公平の観点からは選手同士のトレードの場合も収益、所得を認識して課税すべきであるとする意見、見解には説得力があります。
わが国において、実際のところ、交換トレードの場合に譲渡損益を認識せず課税問題も生じていないとも確認できていませんが、課税されることになって大変という話も耳にしません。
課税されていないものとして考えてみますと、現状は選手同士のトレードについて資産の交換取引として捉え、交換特例(法人税法50条)の考え方を便宜的に援用しているものと考えられます。
ただ、非課税とされる法的な根拠が存在しないことは明らかです。
もっとも、選手のトレードにおいて、資産の同一性や投資の継続性が認められる場合には、含み損益に対して課税するよりも取引の円滑化や活発化を促すことを肯定する考え方もあり得ます。
私見としましても、交換特例の援用として非課税が認められてもよいと考えますが、そのためには、チームが所有する選手に対する保有権の資産性の確認や計上の是非、その評価方法の確立など整備すべき事項は少なくありません。
契約金について繰延資産に計上するものとする取扱いもありますが(法基通8-1-12)、選手の保有権自体は無形固定資産とすべきように考えます。
まずは、「職業運動選手等に係る保有権に関する会計基準」の開発が必要不可欠であるように思います。
わが国での課税の問題は、現時点ではまだ可能性の問題に止まりますが、現にトレードに課税するとしたトランプ税制は、今後うまく機能して税率を引き下げた分に相当する税収を確保できるのか?あるいは、取引を縮小、停滞させるだけで終わるのか?興味深いものがあります。

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