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事務所ニュース2018年4月号

長く働いて、遅く年金を受け取る時代はすぐそこまで?

美しい桜が満開!! お花見はされましたでしょうか?
あっという間の美しさを楽しみたいものです。

高齢化社会を見据え、政府は今から20年以上前の平成8年7月に最初の高齢社会対策大綱を策定しています。
それ以降、経済社会情勢等の変化に応じた数回の見直しを経て、平成30年2月16日に、新たな高齢社会対策大綱を閣議決定しました。

大綱では、「人生100年時代」を見据え、働く意欲があるうちは働ける環境づくりについて言及しているようです。

今月号は、高齢社会対策大綱の中で、高齢社会における公的年金のあり方がどのように提案されているのかを解説します(このご案内は、2018年3月現在の税制に基づき作成しております。)。

長く働いて、遅く年金を受け取る時代はすぐそこまで?

昨年あたりから「人生100年」という言葉を耳にすることが増えました。
100年続く人生はもはや絵空事ではなく、現実感を持って語られることが多くなったようです。
これに歩調を合わせるかのように、公的年金制度も超高齢化社会へ向けた動きが加速してきました。

公的年金の70歳以降の受給開始が検討される

2018年2月16日閣議決定された、高齢社会対策大綱では「65歳以上を一律に“高齢者”とするのは現実的ではなくなってきた」ことを踏まえ、「高齢期における職業生活の多様性に対応した年金制度の構築」という名目で、公的年金の受給開始年齢の上限延長の検討が盛り込まれています。
具体的には、いまは60歳から70歳までの間で選ぶ年金受給開始年齢を見直して、70歳以降の受け取りもできるようにしようというものです。

ご存知の通り、公的年金は「繰り上げ」「繰り下げ」で受給する仕組みがあり、受給開始時期に応じて、65歳から受給するときの本来の年金額が増減します。
繰り下げで受給すれば年金額は増えるものの、受取総額の損得は何歳まで生きるかによって変わるため、一概には繰り下げが得であるとはいえません。

現状を見てみると、平成27年度に新たに年金を受給し始めた人で繰り上げを選んでいる人の割合は10.9%なのに対し、繰り下げはわずか2.0%にすぎません(厚生労働省「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より)。

70歳超で年金を受け取る人は増えるのか?

今回の大綱に盛り込まれた、受給開始年齢の上限延長の背景の一つは、高齢化による平均寿命の伸びに伴い、元気なうちは働きたいと考えている人の背中を押すことです。
冒頭の大綱でも述べられているとおり、65歳以上を一括りに高齢者とすることは、現実とのミスマッチであるともいえます。
事実、70歳を過ぎても毎日フルタイム近く働き、収入を得ている方は少なくありません。
こういった時代の流れを受けて、今後は企業も70歳超まで働くことを視野に入れた雇用環境作りが求められそうです。
その前提となるのは、一人ひとりが長く働ける健康を維持すること、定年という概念はないものとして生涯現役を目指す心構えでしょう。
さらに、個人年金保険や確定拠出年金の利用など、公的年金の受給を遅らせても生活資金に困らないような自助努力も欠かせません。
皆さまのお客様にも、ぜひアドバイスをしてみてください。

<参考>高齢社会対策大綱(平成30年2月)
http://www8.cao.go.jp/kourei/measure/taikou/pdf/p_honbun_h29.pdf

高齢社会対策大綱では、単に働く意欲のある高齢者の雇用を確保するだけではなく、高齢者の起業も支援するべきと提案しています。
また、「働きがい」だけでなく、「生きがい」を充実させることも重要であるとし、大学や専修学校、公民館等の社会教育施設において多様な学習機会を提供することなども増やすべきとしています。

健康な体と心があってこそ、充実した老後生活を迎えられるということです。
もちろん、これらは国が制度を整えてくれなければできないということではありません。
高齢化社会に向けて、私たち一人ひとりが健康年齢を引上げ、充実した人生を送るために努力しなければならないということです。

新年度を迎え、生活や仕事の環境が変わった方もいらっしゃると思います。
体調を崩しやすい時期でもありますので、十分ご自愛くださいませ。

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