今年は「猛暑」ではなく新たな言葉で「酷暑」という表現が始まりました。
皆様には本当に熱中症にならないようにご留意なさってください。
いつも事務所ニュースをお読みいただきありがとうございます。
早いもので今年も半年が過ぎました。
この半年の間、皆様はどのようにお過ごしでしたか。
さて、今月の今月号の「知って得しま専科」は、現在国税庁で議論が進められている「非上場株式の評価ルールの見直し」と題しまして参考になるポイント」を解説いたします。
絞ってご説明します。
また、「5分で学べる税務知識」では本年10月に迫った「令和8年10月1日前後における免税事業者からの課税仕入れの取扱いについてご説明します。
そして「コーヒーブレイク」では、税務裁判例で「亡父の相続で修正申告した現金の帰属が争点となった事例」をお届けいたします。
いずれも今後の税務対策や経営判断に影響を与える重要な内容ですので、ぜひご一読ください。
暑い日が続きますので、お身体には十分お気をつけてお過ごしください。
頑張ろうぜぃ~(税)

 

知って得しま専科!「非上場株式の評価ルールが見直しへ(早ければ令和101月適用)

 

現在、国税庁が設置した有識者会議(「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」)において、取引相場のない株式(非上場株式)の評価制度を抜本的に見直すための議論が急ピッチで進められています。

見直しのきっかけと背景
ことの発端は、202411月に会計検査院が内閣に提出した「令和5年度決算検査報告」です。
検査院が実際の相続税・贈与税の申告から1,600件を無作為に抽出して調査したところ、現行の評価方法において以下のような重大な「歪み」が生じていることが判明しました。

1.評価方式による大きな乖離
1株当たりの「純資産価額」の中央値が42648円であるのに対し、業績や配当などを基にする「類似業種比準価額」の中央値は11622円に留まっていました。
これは純資産価額のわずか27.2%であり、採用する方式によって評価額に相当な乖離があることが浮き彫りになりました。

2.  会社の規模が大きいほど評価が低くなる傾向
純資産価額に対する実際の申告評価額の割合(中央値)を調べたところ、小会社が0.61倍、中会社が0.50倍、大会社が0.32倍となっていました。
つまり、会社の規模が大きくなればなるほど、株式の評価額が相対的に低く算定される傾向(類似業種比準方式の適用割合が高くなるため)がありました。
これらを踏まえ、会計検査院は国税庁に対し、異なる規模の会社間で生じている不公平性を解消し、社会経済の変化に対応した より適切な評価制度へ見直すよう強く求めました。

有識者会議で示された「6つの検討項目」
国税庁は20264月に第1回会合を開催して以降、7月までに4回の議論を重ねており、以下のような非常に踏み込んだ抜本的見直し案を提示しています。
評価方式の一本化の検討(現行の複数方式の併用を見直す)
M&A実務や訴訟でも使われなくなった類似業種比準方式のあり方の見直し
会社規模区分(大会社・中会社・小会社)の見直し(会社規模によって評価方式や評価割合が異なる現行制度を見直し、会社規模による評価額の格差を是正する方向性を検討)
純資産価額方式を基本的な評価方式として維持しない方向性の検討(特定の会社のみに適用する)
配当還元方式の見直し(現在の還元率10%は低金利時代において高すぎるため、評価額が不当に低くなっているという指摘への対応)
資産管理会社等の範囲の整理と、それらを純資産価額方式で評価することの徹底

今後のスケジュールと影響
有識者会議は2026年秋頃に議論を取りまとめ、令和9年度(2027年度)税制改正大綱への反映を目指しています。
その後、パブリックコメントなどの手続きを経て、早ければ令和10年(2028年)11日から新たな評価ルールが適用される見通しです。
国税庁は「増税を目的としたものではなく、評価の適正化と租税回避スキームの排除が目的」と説明していますが、多くの黒字企業や資産保有会社において株価が上昇する可能性が懸念されます。
今後の動向を注視し、当社のようなコンサル型税理士へ早めの事業承継・相続対策のシミュレーションを行うことが重要です

 

5分で学べる税務知識 ・・・「令和8101日前後における免税事業者からの課税仕入れの取扱い


インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入に伴い、適格請求書発行事業者以外の「非登録事業者(免税事業者など)」からの仕入れについては、仕入税額控除を段階的に制限する経過措置が設けられています
この控除割合が、令和8年(2026年)101日を境に「80%控除」から「70%控除」へと引き下げられます
これに伴い、9月から10月をまたぐ取引の税務処理において、どちらの割合を適用すべきか注意が必要です。

役務提供(修理・保守・リースなど)の注意点
修理や保守点検などのサービス(役務の提供)を受けた場合、課税仕入れの時期は原則として「役務の提供が完了した日」となります。
事例:令和8921日に免税事業者に事務機器の修理を依頼し、完了したのが1010日、代金の支払いが1031日だった場合。
判定:代金の支払日や未払であるかどうかは関係ありません。完了日が1010日(見直し後)となるため、「70%経過措置」が適用され、仕入税額の70%しか控除できなくなります。

資産の譲受け(商品の仕入れ)の注意点
・商品を仕入れた場合の課税仕入れの時期は、原則として「その引渡しを受けた日(納品日)」となります。
・令和8930日までの納品分 80%経過措置
・令和8101日以降の納品分 70%経過措置
ただし、棚卸資産については、契約内容等に応じた合理的な基準(引渡基準、着荷基準、検収基準など)を継続して採用している場合は、その基準による計上も認められます。

令和8年度税制改正による期間変更のおさらい
非登録事業者からの課税仕入れに対する経過措置は、令和8年度の税制改正により適用期限が延長され、段階的な縮減スケジュールが以下のように見直されています。
令和8101 令和10930:仕入税額の 70% を控除可能
令和10101 令和12930:仕入税額の 50% を控除可能
令和12101 令和13930:仕入税額の 30% を控交可能
10月前後の仕入れや発注のタイミング、および会計ソフトへの入力区分(80%控除用か70%控除用か)の確認を徹底してください。

 

コーヒーブレイク ・・・「亡父の相続で修正申告した現金の帰属が争点となった事例」 税務署が敗訴

 

過去に被相続人の一人が管理・所有していた現金が、その後に発生した別の家族の相続において「相続財産」に含まれるかどうかが争われた、実務上大変興味深い国税不服審判所の裁決(令和7617日裁決)をご紹介します。

事案の経緯
1.父親の相続(平成28年):父親が亡くなり、母親と子供たちが相続税を申告しました。その後、税務署の調査により、父親が生前に母親名義の口座で貯蓄していた「名義預金(出金済みの現金)」が追加の相続財産として指摘されました。

2.父親相続の修正申告(令和元年):家族全員が納得し、この追加財産を加算した遺産分割協議書を作成した上で、相続税の修正申告を行いました。

3.母親の相続(令和3年):その後、母親が死亡し新たな相続が発生しました。遺産分割協議の場において、税理士が作成した協議書の中に、上記の父親の修正申告時に問題となった現金(長女が管理口で保管していたもの)が「現金 F管理口○○○○円」として便宜上記載され、相続人一同が署名押印しました。

4.税務署の更正処分:母親の相続税調査に入った税務署は、「母親の遺産分割協議書に相続財産として記載されている以上、これは本件の相続(母親からの相続)によって取得した財産である」と主張し、相続税の更正処分(追徴課税)および過少申告加算税の処分を行いました。これを不服とした長女が審査請求を行いました。

争点
この現金は、本当に「母親の相続財産(遺産)」に該当するのか、それとも「過去の父親の相続財産の清算過程のもの」に過ぎないのかが争点となりました。

審判所の判断(税務署の処分を全面取消)
国税不服審判所は、長女側の主張を全面的に認め、税務署の課税処分をすべて取り消すという裁決を下しました。
審判所が示した理由は以下の通りです。
当該現金の原資は、以前に行われた「父親の相続税調査」において、父親の相続財産(名義預金)として修正申告の対象とされたものであることが客観的に認められる。
現金が出金された後、母親および共同相続人たちの間で、その修正申告に伴う「納税」や「残余財産の清算」についての協議が行われ、その協議に沿って実際に納税や清算の手続きが進められていた事実が確認できる。
これらの客観的な状況を踏まえると、遺産分割協議書に記載があったとしても、相続人がこの現金を「母親の相続によって新しく取得したもの」とは認められない。
したがって、母親の相続財産には該当しない。

本事例からの教訓
税務署は「遺産分割協議書に書いてあるから遺産である」という形式的な判断で課税を行ってきましたが、審判所は「その財産の真の原資(出所)はどこか」「過去の清算手続きの延長線上にあるものか」という客観的な実質を重視して判断を下しました。
ただし、後々の税務トラブルを防ぐためには、過去の相続の清算資金などを別の相続の遺産分割協議書に不用意に記載しないこと、また、資金の移動や清算の記録を客観的な書類(復歴や領収書等)としてしっかり残しておくことが極めて重要です。

 

事務所からのお知らせ

 

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誠に勝手ながら、下記期間を夏季休業とさせていただきます。
期間:2026年8月10日(月)~2026年8月14日(金)
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「税目別誤りやすい税務への対応Q&A(第2版) 」法人税の対応を担当しました。

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