新緑がまぶしく、過ごしやすい季節となりました。
いつも事務所ニュースをお読みいただきありがとうございます。
3月決算法人の決算が大詰めを迎え税理士事務所では決算確定と申告事務で忙しい時期を迎えました。
皆さんの経営の現場では新年度の体制づくりが進んでいる頃かと存じます。
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月は「整える」時期です。資金繰り、人材配置、設備投資など、年度初めの計画を一度見直すことで、1年の安定度が大きく変わります。
当事務所でも、皆様の持続的な成長に向けたサポートを強化してまいります。
さて、今月号の「知って得しま専科」は3月決算法人の役員報酬の見直しは5月がラストチャンスです」と題しまして参考になるポイント」に絞ってご説明します。
また、「5分で学べる税務知識」では、「交際費・会議費の判断基準税務調査で見られるポイントと題して税務調査で否認されやすい事例をご説明します。
さらに、「コーヒーブレイク」では、「ハイブリッド節税だとしてネットの情報に注意!」と題してそのリスクをご説明します。
今後もお役に立てそうなコラムをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
お身体には十分お気をつけてお過ごしください。
頑張ろうぜぃ~(税)

 

知って得しま専科!3月決算法人の役員報酬の見直しは5月がラストチャンスです」

 

役員報酬の見直
3月決算法人においては、役員報酬の見直しができる重要なタイミングが「事業年度開始から3か月以内」とされており、実務上は5月が最終判断の期限となります
この時期を過ぎてしまうと、原則としてその後の改定は認められず、変更した場合には損金不算入となるリスクが生じます。
役員報酬については、「定期同額給与」であることが税務上の基本要件です
すなわち、毎月同額で支給されていることが必要であり、途中での増減は厳しく制限されています。
特に、利益状況を見ながら柔軟に変更したいという経営判断と、税務上のルールとの間にはズレが生じやすいため、慎重な対応が求められます。
また、業績悪化などによりやむを得ず報酬を減額する場合であっても、事後的な調整ではなく、あらかじめ合理的な理由と手続きを整えておくことが重要です。
税務調査においては、その減額が真にやむを得ない事情によるものかどうかが厳しく確認されるため、議事録の整備なども含めた事前対応が不可欠となります。
5月は、1年間の役員報酬を確定させる非常に重要なタイミングです。
節税だけでなく、資金繰りや社会保険料への影響も踏まえ、総合的な視点での見直しをおすすめいたします。
ご不明な点がございましたら、お早めにご相談ください。

中小企業向け賃上げ税制のポイント
人材確保や物価上昇への対応が求められる中、「賃上げ」は重要な経営課題となっています。
こうした背景を踏まえ、中小企業向けの賃上げ促進税制も引き続き活用が期待されています。
本制度は、前年度と比較して給与総額を一定割合以上増加させた場合に、その増加額の一部を法人税額から控除できる仕組みです。
要件としては、「全雇用者の給与総額の増加」が1.5%以上必要となります。
適用にあたっては計算方法や判定要件が複雑であり、形式的な要件漏れにより適用できないケースも見受けられます。
また、単なる節税目的ではなく、賃上げ後の資金繰りや人件費負担の継続性も十分に検討する必要があります。
制度の活用にあたっては、事前のシミュレーションを行い、無理のない計画を立てることが重要です。
制度を上手に活用することで、従業員満足度の向上と税負担の軽減を同時に実現することが可能です。
詳細な適用可否や試算については、お気軽にご相談ください。

 

5分で学べる税務知識 ・・・「交際費・会議費の判断基準税務調査で見られるポイント

 

際費と会議費は、日常的に発生する支出である一方、税務調査でも特に指摘を受けやすい項目です
両者の区分を誤ると、損金算入の可否や限度額の判定に影響が生じるため、実務上は明確な整理が重要となります。
一般的に、交際費とは得意先や仕入先など社外関係者との関係維持・強化を目的とした飲食や贈答等を指します
一方、会議費は業務の打合せ等に通常必要と認められる範囲の飲食費であり、社内外を問わず「会議の実態」があることが前提となります。
税務調査では、①参加者(社外者がいるか)、②目的(打合せか接待か)、③金額(社会通念上妥当か)、④記録(議事内容や領収書の記載)の4点が重点的に確認されます。
特に1人当たりの金額が高額な場合や、記録が不十分な場合には交際費と判断される可能性が高くなります。
実務対応としては、領収書に参加者名や目的をメモしておくこと、社内規程で基準を明確にしておくことが有効です。
日頃からの一手間が、税務調査時のリスク軽減につながります。

 

【交際費・会議費でよくある否認事例】 税務調査で実際に見られるポイント

否認事例①:高額飲食を「会議費」として処理
1人あたり1万円を超えるような飲食を会議費として処理していたケースでは、「社会通念上、打合せの範囲を超えている」と判断され、交際費に振替えられることがあります。
特に高級店での飲食や長時間に及ぶ会食は、「接待」とみなされやすく注意が必要です。

否認事例②:議事内容の記録がない
・領収書は保存しているものの、「誰と・何の目的で」行われたかの記録がない場合、会議の実態が認められず、交際費として扱われるケースがあります。
・税務調査では「その場でどのような打合せが行われたのか」が説明できるかが重要です。

否認事例③:実態は懇親会・打上げ
社内会議後の懇親会や、プロジェクト終了後の打上げ費用を会議費として処理していた場合、「業務上の打合せではなく慰労目的」と判断され、交際費として整理し直されることがあります。

否認事例④:参加者が実質的に社内のみ
形式上は「打合せ」としていても、参加者が役員・従業員のみであり、かつ通常の会議の範囲を超える飲食が伴う場合には、会議費として認められないことがあります。
特に夜間の飲食やアルコールを伴う場合は、慎重な判断が必要です。

否認事例⑤:同一先への頻繁な飲食
特定の取引先との飲食が頻繁かつ高額である場合、「業務上必要な打合せの範囲を超えている」として交際費認定されるケースがあります。
回数や金額のバランスも見られるポイントです。

実務対応のポイント
否認を防ぐためには、以下の対応が有効です。
・領収書に「参加者」「目的」を必ず記載
1人あたりの金額を常識的な範囲に抑える
・会議と懇親の区分を明確にする
・社内ルール(基準)をあらかじめ整備する

 

コーヒーブレイク ・・・「ハイブリッド節税だとしてネットの情報に注意!」

 

ハイブリッド節税だとしてネットで情報が出ていますが基本的に節税対策にはなっていません
内容は①中小企業経営強化税制、少額減価償却資産等を活用して投資額の100%を損金算入する、②単なる利益の繰り延べでなく数年で投資額の135%以上回収する、というものです。
本当に安全で正しいのでしょうか。
結論から言うと、この「ハイブリッド節税」は制度自体は合法だが、宣伝どおりに安全・確実とは言えないという位置づけです。
むしろ実務的にはかなり注意が必要なスキームです。
少し冷静に分解してみます。

制度部分(即時償却)は本物か?
ここは本物です。
中小企業経営強化税制 → 即時償却 or 税額控除が可能
少額減価償却資産(30万円未満) → 300万円まで即時損金
令和8年度税制改正で40万円未満に引き上げ
つまり、 100%損金算入自体は合法でよくある話です。
ただし重要なのは、①事前申請(設備取得前)、②対象設備の厳格な要件、③「事業の用に供する」実態
ここを外すと否認リスクは普通にあります。

135%回収」は税制ではなく投資話ここが一番の誤解ポイントです。
ネットの説明を見るとこうなっています ➡ ①100%損金(税金減る)、②数年で135%回収(儲かる)、③一見すると 税制で135%になるように見える
でも実態は違います。
これは単なる投資案件の収益予測です。
実際にも「高収益事業を厳選」、「130%以上回収」といった表現は完全に営業資料です

税理士視点での本質
このスキームの正体はこうです。
構造
1.設備投資 即時償却(税金減る)
2.投資案件 利益回収
つまり、節税+投資の組み合わせ

リスクの本丸 → ここが一番大事です。
投資リスク(最大の落とし穴)
135%回収は「保証ではない」
実態は 、①コインランドリー、②太陽光、③トランクルーム、④コンテナなどの投資ビジネスなどが多い
結論:ただの事業投資なので普通に失敗します

税務否認リスク → 次のケースは要注意です。
1.実態が投資(貸付・リース)に近い
2.名目的に設備を保有
3.他社に丸投げ運用
この場合、事業性否認 即時償却NGの可能性
実際、制度でも①貸付資産、②委託型設備、は対象外とされています。

過度な節税スキーム扱い
税務署の視点はシンプルです。
「税金減らすためにだけ作った投資では?」
こう見られると否認、重加算税のリスクもゼロではありません。

キャッシュアウト問題
よくある誤解は、「税金減る=得」ではありません。
実際は、①投資額:1億円 、②節税:3000万円 、③キャッシュ:▲7000万円 資金は減っています

実務的な評価(率直に)
税理士としての現実的な評価はこうです。
良いケース ➡ ①本業とシナジーあり、②投資として成立している、③キャッシュ余裕あり
危ないケース ➡ ①節税目的が主、②投資内容を理解していない、③利回りだけ見ている
この場合はほぼ節税商品でリスク高い

結論として
この「ハイブリッド節税」は 魔法の節税ではない。
整理すると、①税制 合法 、②135%回収 投資話(保証なし)、③本質 節税+投資スキーム
そして一番大事なのは 「節税」と「儲かる」は別物
皆さんもこんな話には乗らないようにご注意ください。

 

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