桜に花が満開を迎える季節となりました。
いつも事務所ニュースをお読みいただきありがとうございます。
4月は新年度の始まりの月となり、多くの企業にとって組織体制や事業計画を見直す節目の時期でもあります。
人の動きや市場環境の変化も大きく、経営においても新たなスタートを切る重要なタイミングといえるでしょう。
さて、今月号の「知って得しま専科」は「2026年度 税制改正の“実務インパクト”早わかり」と題しまして新年度スタートのうち実務で参考になるポイント」に絞ってご説明します。
また、「5分で学べる税務知識」では、「役員社宅の節税、どこまでOK?否認ラインを解説」と題して税務調査で否認されやすい3つのポイントをご説明します。
さらに、「コーヒーブレイク」では、「なぜ日本人は“4月スタート”が好きなのか?」と題して考えてみました。
その理由は、明治時代にまでさかのぼります。
今後もお役に立てそうなコラムをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
温暖の差が激しい季節ですのでお身体には十分お気をつけてお過ごしください。
頑張ろうぜぃ~(税) ♪
知って得しま専科!「2026年度 税制改正の“実務インパクト”早わかり」
2026年4月の法改正・制度変更は、非常に広範囲にわたります。
中小企業は、単なる負担増やコンプライアンスの対応にとどまらず、非課税枠の拡大による福利厚生の充実や130万円の壁のルール変更を生かした人手不足の解消、治療と仕事の両立支援による人材定着など、自社の強みを伸ばす機会として戦略的に活用していく視点が重要です。
そこで、中小企業に役立つ観点から、2026年4月に施行される主要な変更点を「人事・労務」「経理・税務」「物流・交通」「補助金などの中小企業支援」の4つのテーマに分けて詳しく解説します。

1 人事・労務管理、採用力と定着率の強化へ
従業員の働き方や社会保険に関連するルールが大きく変わり、企業の対応次第で人材確保に差がつく可能性があります。
1-1 「130万円の壁」判定の全国統一ルール化
パートやアルバイトの従業員が社会保険の扶養に入れるかどうかを左右する「年収130万円の壁」について、被扶養者認定の判定方法が変更されます。
従来は過去や現在の実績から健康保険組合ごとに異なる基準で判定されており、「年末の働き控え」の原因となっていました。
しかし2026年4月からは、労働契約段階で見込まれる今後1年間の収入(労働契約書や労働条件通知書の記載内容)をもとに判定するルールに統一されます。
契約上130万円未満であれば、一時的な残業などで超過しても社会通念上妥当な範囲であれば扶養を継続できるようになり、年末の人手不足解消につながることが期待されます。
1-2 年金制度改正法が成立 在職老齢年金制度を見直し
年金制度改正法が2025年6月20日に公布され、多様化する働き方や生き方、家族構成に対応し、現在および将来の年金受給者双方の老後の生活安定と所得保障機能の強化を目指すものです。
次のような改正があり、とくに2026年4月からは在職老齢年金制度を見直します。
・社会保険の加入対象の拡大(106万円の壁の撤廃)
・在職老齢年金制度の支給停止基準額の引き上げ
働きながら年金を受け取る65歳以上の人の支給停止基準額が、現行の月51万円から月65万円に引き上げられ、高年齢者が働きやすい環境が整備されます。
・遺族年金の見直し
・保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引上げ
・子の加算の見直し
1-3 治療と就業の両立支援の「努力義務化」
改正労働施策総合推進法により、職場における「治療と就業の両立支援」が事業主の努力義務となります。
がんなどの病気を抱える労働者が治療を続けながら安心して働けるよう、相談体制の構築や、時間単位の有給休暇、時差出勤、短時間勤務などの柔軟な制度の整備、そして主治医や産業医等と連携した配慮が求められます。
1-4 「女性活躍」の公表義務拡大と「えるぼしプラス」
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が改正され、従業員数101人以上の企業に対し、「男女間賃金差異」と「女性管理職比率」の公表が義務付けられます。
さらに、新たな認定制度「えるぼしプラス」「プラチナえるぼしプラス」が創設されます。
これは、従来の女性活躍推進の取り組みに加え、生理休暇など女性の健康上の特性に配慮した柔軟な休暇制度や働き方の整備、相談体制の構築など「女性の健康支援」に積極的に取り組む企業を認定するものです。
1-5 60歳以上の労災防止が努力義務化へ
労働安全衛生法の改正により、2026年4月から高年齢労働者(60歳以上)に対する労災防止対策が事業者の努力義務となります。
高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理など、高年齢者の労働災害の防止を図るために事業者が努力すべき5つのポイントがあります。
2 経理・税務・総務 非課税枠が拡大
税制優遇が拡充される一方で、新たな支援金の徴収や各種手数料の値上げも控えています。
【税金・所得に関する主な改正】
★「年収の壁」が178万円へ引き上げ
所得税の課税最低ライン(基礎控除と給与所得控除の合計)が現行の103万円から段階的に引き上げられ、2026年度には178万円となる予定です。
これにより、中所得層を中心に年間数万円規模の減税効果が見込まれています。
★暗号資産(仮想通貨)の「20%申告分離課税」導入
これまで最大55%(総合課税)だった暗号資産の利益に対する税率が、一律20%の申告分離課税に変更されます。
3年間の損失繰越控除や、特定暗号資産間での損益通算も可能になります。
★NISA(少額投資非課税制度)の拡充
「つみたて投資枠」が18歳未満にも解禁され、年間60万円(総額600万円)までの非課税投資が可能になる見通しです。
2-1 従業員の「非課税枠」が拡大
物価高騰を反映し、従業員への各種手当の非課税枠が拡大されます。
食事代補助……月額3500円から「月額7500円」へと40年ぶりに大幅引き上げ。深夜勤務時の食事補助も1回300円から「650円」になります。
マイカー通勤……会社が負担する駐車場代が「月5000円」まで非課税となります。
通勤手当……遠距離通勤(片道95km以上)の場合、非課税限度額が従来の38700円から最大「66400円」に拡充されます。これらの改定は、実質的な従業員の手取り増に繋がるため、福利厚生の見直しとして有効です。
2-2 食事の現物給与価額の改正
従業員に提供する食事について、社会保険料の計算基礎となる「現物給与の価額」が2026年4月1日から全国的に改正されます。
給与計算の担当者は、4月分の給与計算から新しい価額を適用する必要があるため、事前のシステム設定等の準備が必要です。
2-3 少額減価償却資産の特例が「40万円未満」に
中小企業や個人事業主にとって朗報なのが、全額をその年の経費にできる「少額減価償却資産の特例」の引き上げです。
これまでの30万円未満から「40万円未満」に拡大されるため、ハイスペックなパソコンや設備の導入時に経費計上がしやすくなり、節税対策の幅が広がります。
2-4 企業型DCの「マッチング拠出」上限緩和
企業型確定拠出年金(企業型DC)において、これまで「会社の拠出額」までしか個人で掛金を上乗せできませんでしたが、2026年4月以降は会社の拠出額に関わらず、法定上限(最大4万5000円)まで個人で拠出できるようになります。
従業員の資産形成を後押しするメリットとなります。
2-4 「子ども・子育て支援金」の徴収開始
少子化対策の財源として、公的医療保険を通じて徴収される制度が始まります。
負担額は年収により異なりますが、当初は月額数百円程度から始まり、段階的に増加する計画です。
2-6 防衛特別法人税、2026年4月1日以後に開始する事業年度から
税制改正により、新たに「防衛特別法人税」が創設されました。
防衛特別法人税とは、防衛力強化に必要な安定財源を確保するとして、法人税の一部に新たな税負担を求める措置として導入された税金です。
2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
2-7 自動車関連手数料や固定電話料金の値上げ
企業のコストに直接影響する値上げもあります。
自動車の新規登録手続きが900円から1300円に値上げされるほか、車検や各種証明書の交付手数料も軒並み引き上げられます。
営業車やトラックを多数保有する企業はコスト増を見込む必要があります。
また、NTTの固定電話の基本料金(事務用)も月330円値上げされます。
3 物流・交通・インフラのルール適正化
運送業だけでなく、モノを運ぶすべての企業(荷主)や、自転車を利用する人に向けたルールが厳格化されます。
3-1 改正物流効率化法と違法な白トラ規制(荷主の責任強化)
物流の「2024年問題」に対応するため、改正物流効率化法の第2弾が施行され、一定規模以上の「特定荷主」には、物流統括管理者(CLO)の選任や中長期計画の策定、荷待ち時間の計測・報告などが義務付けられます。
3-2 自転車の「青切符」導入と側方通過のルール
16歳以上の自転車利用者に対し「交通反則通告制度(青切符)」が導入されます。
携帯電話を使用しながらの運転(1万2000円)や信号無視(6000円)などに反則金が科せられるため、自転車通勤の従業員や配達スタッフに対する安全教育が不可欠です。
同時に、自動車のドライバーにとっても「車が自転車を追い越す時の新ルール」が適用されます。
車が自転車の右側を通過する際、十分な間隔(目安1m程度)が取れない場合は、安全な速度(目安20~30km/h)まで減速する義務が規定されます。
3-3 自動車運送事業関連の手続き、オンライン化を加速
一般貨物・特定貨物、一般旅客自動車運送事業(貸切・乗用)の許可申請や事業の事故報告の届出など自動車運送事業関連の申請や届け出など49手続きが、2025年12月1日からオンライン申請できるようになります。
3-4 軽二輪の「ワンストップサービス(OSS)」開始
125cc超~250cc以下の「二輪の軽自動車」について、新車新規届出や記載事項変更、一時使用中止の手続きがオンラインで24時間365日行えるワンストップサービスが開始されます。
3-5 建築物の省エネ基準引き上げとGX推進法
2026年4月から、建築省エネ法に基づき中規模非住宅建築物の省エネ基準が引き上げられます。
自社ビルや店舗の新規建設を検討している場合は、設計要件の確認が必要です。
また、脱炭素に向けた改正GX推進法により、CO2排出量が年10万トン以上の大規模事業者には排出量取引制度(ETS)への参加が義務付けられます。
4 中小企業支援、補助金や相談窓口も
2026年4月はさまざまな中小企業向け補助金を公募しているほか、全国各地に生産性向上支援センターも開設します。
4-1 小規模事業者持続化補助金、第19回公募
小規模事業者持続化補助金の第19回公募が始まっており、2026年4月30日に申請受付を締め切ります。
ただし、事業支援計画書発行の受付締切は4月16日のため、早めに準備をしましょう。
4-2 デジタル化・AI導入補助金、申請締切は5月12日
「デジタル化・AI導入補助金2026」は、これまでのIT導入補助金に代わる補助金ですが、業務のIT化にとどまらず、AI(人工知能)を搭載した最新のソフトウェアやクラウドサービスを活用した抜本的な業務改革を支援する補助金です。
2026年3月30日から交付申請受付を開始し、5月12日に締め切ります。
4-3 ものづくり補助金23次公募、2026年4月3日に申請受付を開始
中小企業庁は、革新的なサービスの開発や生産性向上を支援する「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」の23次公募要領を公開し、2026年4月3日(金)17時より電子申請の受付を開始します。
申請締切は5月8日(金)17時(厳守)となっています。
4-4 生産性向上支援センター、全国のよろず支援拠点に設置
経済産業省は2026年4月1日から、各都道府県の「よろず支援拠点」内に、新たな組織として「生産性向上支援センター」を設置します。
中小企業・小規模事業者等が省力化等を通じて、生産性を向上させることができることを目的とした組織です。
5分で学べる税務知識 ・・・「役員社宅の節税、どこまでOK?否認ラインを解説」
役員社宅は節税メリットが大きい一方、税務調査で否認されやすいテーマです。
● 否認されやすい3つのポイント
① 家賃設定が低すぎる → 賃料相当額未満は給与課税
② 豪華すぎる物件 → 面積・賃料・立地で総合判断 → “社会通念”がキーワード
③ 会社負担の範囲が広すぎる → 光熱費・駐車場・家具 → 実質給与と認定されやすい
● 実務対応チェックリスト
□ 固定資産税評価額の把握
□ 賃料相当額の計算根拠保存
□ 契約書の整備(法人契約)
□ 入居者負担の明確化
👉ワンポイント → 「形式を整えても、実態が伴わないと否認」 → 特に同族会社は厳しく見られます
コーヒーブレイク ・・・「なぜ日本人は“4月スタート”が好きなのか?」
4月といえば、入学・入社・異動など「新しいスタート」の季節です。
日本では学校も企業も「4月始まり」が当たり前になっていますが、実はこれ、世界的に見ると少し珍しい習慣です。
多くの国では、学校は9月スタート、企業や会計年度は1月スタートが一般的です。
では、なぜ日本だけが「4月スタート」なのでしょうか。その理由は、明治時代にまでさかのぼります。
当時の日本は農業中心の社会で、秋の収穫後に税を納める仕組みでした。
その流れに合わせて国家の予算が組まれるようになり、会計年度が4月始まりになったのです。
そしてこの制度が、学校や企業にも広がり、現在の「4月スタート文化」が定着しました。
実はこの流れ、税務とも深く関係しています。
多くの企業が3月決算であるため、申告や納税、予算編成など、経営のリズムそのものが4月を起点に動いています。
つまり、日本のビジネスのカレンダーは、「歴史と税制が作った“仕組み“」とも言えます。
さて、ここで少しだけ視点を変えてみると、私たちが「4月だから頑張ろう!」と思うのも、もしかすると制度にうまく乗せられているだけ…かもしれません。
とはいえ、新しいスタートにちょうどいい季節であることは間違いありません。
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金森先生の誕生日 3/3 |
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