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本年も多大なるご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。6月の事務所移転を経て業務体制を強化し、より質の高いサービス提供ができる体制を整えてまいりました。
来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
今月号の「知って得しま専科」は2026年は「人材投資税制」本格化へ」と題して2026年から「人的資本投資」の税制優遇を一段と強化する方針で、研修・教育費用の税額控除の拡大 や DXスキル研修補助 が具体化しています。
中小企業でも「税額控除」を適用できるケースがあることを解説します。
また、「5分で学べる税務知識」では、「インボイス制度“2年目の落とし穴」と題して202510月以降の仕入税額控除で特に誤りの多い3つのケースをご紹介します。
「コーヒーブレイク」では、2025年の企業を支えた見えないDX”と題して大きな投資をせず静かに・地味に効いているDXAI活用) が増えている点について考えてみます。
今後もお役に立てそうなコラムをお届けしてまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
頑張ろうぜぃ~(税)

 

知って得しま専科!2026年は「人材投資税制」本格化へ」

 

政府は2026年から「人的資本投資」の税制優遇を一段と強化する方針で、研修・教育費用の税額控除の拡大 DXスキル研修補助 が具体化しています。
大企業向けの議論が目立ちますが、中小企業にも波及確実です。

~今から準備すれば教育費が経費+税額控除という大きなメリット~
2025年は「人的資本投資」が大きなテーマとなりました。
2026年からは教育訓練費を対象にした税制優遇の拡大が予定されており、「人材育成にお金を使う企業ほど税負担が軽くなる」 という流れがより明確になります。

中小企業にとって特に注目すべきポイントは次の3です。
1.教育訓練費の増加分に対して税額控除の導入(案)
2025年の教育費と比べ 増加した部分の一定割合を税額控除 できる方向です。対象は次のような研修が想定されています。

  • DX・デジタル研修(ExcelAIRPA・データ分析など)
  • 管理職研修・安全衛生研修
  • 資格取得のための外部講座費用
  • 人的資本開示に資する研修
  • 階層別研修、コンプライアンス研修等

控除率は最終的に大綱待ちですが、数%の税額控除 でも教育費の実質負担は大きく軽減します。

2.中小企業こそ「区分経理」が重要になります
税額控除の適用には、教育訓練費が他の経費と明確に区分されていることが必要になる可能性があります。
2025年のうちに科目を以下のように整理することを推奨します。

  • 「研修費」
  • 「教育訓練費」
  • 「資格取得支援費」
  • 「外部講師料(研修関連)」

★ポイント:研修費の増減を正確に追えるようになるため、控除申請の基礎データになります。

3.助成金との併用で実質負担ゼロも可能
特に「人材開発支援助成金」との相性がよく、外部研修に3050%の助成が出るケースもあります。
税額控除と助成金を組み合わせることで、教育費の実質負担がほぼゼロになることも珍しくないため、2026年は中小企業にとってチャンスの年となります。

今年のまとめ
人材不足が深刻化する中、教育投資の効果は「採用コストの削減」や「離職率の低下」など数字にも表れます。
年末は、2026年の研修計画作りに最適なタイミングです

 

5分で学べる税務知識 ・・・「インボイス制度“2年目の落とし穴」

 

インボイス制度は202310月開始、経過措置は20269月まで続きますが、202510月以降 控除割合が大きく変わる「2年目の壁」 が到来します

202510月以降の仕入税額控除で特に誤りの多い3つのケース~

202510月からの経過措置の具体的数値
・仕入税額控除  2023/102026/980%(免税事業者からの課税仕入)
 2026/102029/950%に縮小
インボイス制度は202310月に始まり、まだ2年目ですが、申告ミスが急増しています。
特に 202510月以降は「経過措置の適用誤り」が最も多くなる局面 です。
ここでは顧問先でも頻発している 誤りやすい3つのケース を、できる限り具体的に整理してお伝えします。

ケース①:交通費精算 ― “立替領収書の扱いを間違える例

【誤りの典型】 従業員が「自分名義で受け取った領収書」を提出し、会社負担としたが、インボイス番号の確認をしていない
そもそも領収書が手書きで、店名・適格請求書番号が不明。
SuicaPASMO明細だけで経費とし、インボイスを添付していない。

【正しい処理】 立替精算は「会社が仕入れた」とみなすため、インボイス要件のチェックが必要です

電車・バス等の運賃はインボイス不要(適格請求書不要制度の対象)。
しかしタクシーは運転者 or 事業者名、インボイス番号、乗車日時、金額が求められます

【よくある不足例】 タクシーの「クレジットカード売上票のみ」→ ×(インボイスではない)
二次会の飲食代を個人が立替 店舗のインボイスが必要
年末の交通費精算はインボイスチェックを徹底するだけで誤りの8割は防げます。

ケース②:外注費(士業・講師・デザイナー等)個人事業主への支払でインボイス番号がない例

【誤りの典型】 
いつも頼んでいるデザイナーが「免税事業者」のままだった。
講師・カメラマン・コンサルタントへ支払う際、インボイス番号の有無を確認せずに経過措置80%控除にしていない。
既に登録していると思い込んで処理。

【正しい処理】 免税事業者からの課税仕入は20269月までは「80%控除」 を適用可能
ただし仕入先が誰か、免税か、登録済みかを帳簿に残す必要があります。

【具体例】セミナー講師(個人)
インボイス番号なし 80%控除、番号あり 100%控除、
デザイン外注(個人)→SNS経由で依頼 番号未記載で請求書が届く 注意
対策は「外注先リストにインボイス番号欄を追加」。
これだけで処理が劇的に正確になります。

ケース③:海外事業者(電子サービス)消費税の区分誤りが非常に多いケース

【誤りの典型】  海外のクラウドサービス費用(AdobeCanvaChatGPT等)を「課税仕入」扱いにしてしまう
逆にすべて不課税として処理している。

支払時の請求書が英語で、税区分を誤認。

【正しい判断のポイント】 海外事業者からの電子サービスは「特定課税仕入」に該当 仕入税額控除の対象(要区分経理)
インボイス番号は不要
支払対価に含まれる消費税相当額を「仮払消費税」として処理し、簡易課税の場合は原則不可(選択による)。

【具体例】 Adobe / Microsoft 365 / Dropbox 特定課税仕入

OpenAIChatGPT 特定課税仕入
海外のデザイン素材サイト利用料 特定課税仕入
外貨建て請求書は税区分誤りが最も多い分野。
12月は一度リスト化して点検しましょう。

まとめ
インボイス制度の誤りは、「知識不足」よりも「思い込み」が原因 のことが多いです。
12月は決算・申告の前哨戦として、取引先情報の棚卸しを行いましょう。

 

コーヒーブレイク ・・・「2025年の企業を支えた見えないDX”

 

~派手ではないが、実は一番効くAI活用~
2025年は生成AIが一気に普及し、多くの企業で「AI活用の成果」が見え始めた年でもありました。
その中で特に興味深いのは、大きな投資をせず静かに・地味に効いているDXAI活用) が増えている点です。
ここでは実務でよく見る「見えないDX」の事例をご紹介します。

1.会議録の自動文字起こしで負担70%削減
議事録の作成は以前「1時間の会議 作業23時間」が普通でした。
今では録音データをAIに読み込ませるだけで、要点を整理した議事録まで自動生成 されます。
単純作業が減り、社員が本来の業務に集中できるようになりました。

2.AIスケジューラーが「調整役のストレス」を激減
会議の日程調整は、メール・LINEChatでやり取りが延々続くもの。
AIスケジューラーは関係者全員の空き状況を把握し、最適な時間帯を自動提案 してくれます。
10時間単位で時間が生まれる企業もありました。

3.AIによる「在庫予測」や「売掛金回収リスク分析」
中小企業でも使えるツールが増え、エクセルデータを読み込むだけで売れ筋予測や回収遅延リスクが早めに分かる ようになりました。
「属人的な勘」から「データに基づく判断」へ移行する企業が増えています。

4.AI活用の落とし穴は任せすぎ
自動応答に頼りすぎて顧客コミュニケーションが機械的になり、逆にクレームになる例も。最終確認は必ず人間が行うこと がポイントです。

所長のひとこと
最新技術は、派手な投資よりも 小さく始めて大きく効かせる のがコツ。
2026年は「AIを使える社員」が企業の競争力を大きく左右します。
AIは一気に高度なことをやるより、小さな業務の改善から始めて大きく効かせるのが最も成功しやすい方法です。
2026年は「AIを使える社員」が企業の競争力を決める時代になりそうです。
温かいコーヒーを飲みながら、来年の働き方を少し想像してみてください。

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202511月の動き

11/14  渋谷税務署での意見交換会 

11/20  U30アウリート支援プログラム表彰式

11/23  東郷神社の紅葉

11/24  大洗町磯浜町

11/24   水戸市 偕楽園

11/24  大洗町 海洋博物館